FOMC(Federal Open Market Committee)とは?

金融政策
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インフレ高進を受けて、アメリカの金融政策の最高意思決定機関であるFOMCに対する注目度が俄然増しています。この記事では、米連邦準備制度を概観しながらFOMC(Federal Open Market Committee)についてその概要を見ていきたいと思います。

Fed(Federal Reserve System、連邦準備制度)

FOMCの説明に入る前に、まずはFed(Federal Reserve System、連邦準備制度)についてみていきましょう。

Fedは、金融政策の基本方針決定を主導するFRB(Board of Governors of the Federal Reserve System、連邦準備制度理事会)と12の連邦準備銀行(地区連銀)の集合体として構成されています。日本に置き換えると、集合体としてのFedが日本銀行、FRBと12の地区連銀取締役会が日銀執行部(総裁・副総裁・理事)に相当します。

FRBには、議長・副議長2名の計3名を含めて、理事7名が置かれます。理事の任期は14年(2年毎に1名が交代)であり、大統領の任命と上院の承認を経て就任します。議長・副議長の任期は4年です。

地区連銀には、取締役9名が置かれます。このうち、加盟民間銀行から3名、銀行業以外から3名が加盟民間銀行によって選出され、残りの3名は連邦準備制度理事会が任命します。

これらの集合体としてのFedによって、FRBが預金準備率を設定し、各地区連銀が公定歩合を変更し、ニューヨーク連銀が公開市場操作を執行することによって、FOMCが決定した金融政策の基本方針が実際に執行されます。

FOMC(Federal Open Market Committee、公開市場委員会)

FOMC(Federal Open Market Committee、公開市場委員会)は、金融政策の基本方針を決定する最高意思決定機関です。日本に置き換えると、FOMCは最高意思決定機関としては日銀政策委員会に相当します。また、FOMC会合は日銀金融政策決定会合に相当します。

FOMCには、FRB理事7名とニューヨーク連銀総裁、他の地区連銀総裁4名(輪番制)の計12名の委員が置かれます。また、委員ではない7名の地区連銀総裁は投票権のないオブザーバーとしてFOMC会合に出席することができます。FOMCの委員長はFRB議長、副委員長はニューヨーク連銀総裁が努めます。

FOMC会合は、約6週間毎に火曜日から水曜日の2日間にわたって年8回開催されます。会合後、FRBからFOMC声明文とそれに関連するFRB理事会の決定があわせて公表され、その後、FRB議長の会見が行われます。

FOMC資格現任
委員・委員長FRB理事・FRB議長パウエルFRB議長
委員・副委員長NY連銀総裁ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁
委員FRB理事バーFRB副議長
委員FRB理事ボウマンFRB理事
委員FRB理事ブレイナードFRB副議長
委員FRB理事クックFRB理事
委員FRB理事ジェファーソンFRB理事
委員FRB理事ウォーラーFRB理事
委員地区連銀総裁ブラード・セントルイス連銀総裁
委員地区連銀総裁コリンズ・ボストン連銀総裁
委員地区連銀総裁ジョージ・カンザスシティ連銀総裁
委員地区連銀総裁メスター・クリーブランド連銀総裁
オブザーバー
2023年委員
4地区連銀総裁エバンス・シカゴ連銀総裁
ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁
ローガン・ダラス連銀総裁
カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁
オブザーバー
2024年委員
3地区連銀総裁バーキン・リッチモンド連銀総裁
ボスティック・アトランタ連銀総裁
デイリー・サンフランシスコ連銀総裁
FOMCメンバーの構成(2022年8月22日以降)

ニュースで米金融政策当局者の発言に接した際には、FOMCの投票権がある委員なのか、あるいは来年投票権を得るメンバーなのか、といった観点を持つと、より金融政策の先行きへの理解が深まるかと思います。

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