一人暮らしの賃貸物件探しで住居費抑制のために注意したい、あまり知られていないポイント

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一人暮らしの賃貸物件探しで住居費抑制のために注意したい、あまり知られていないポイント

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多くの人にとって、人生において最も大きな支出となる住居費。ここでは、一人暮らしではじめて家を借りる方に役立つよう、賃貸物件の関係者とその役割を確認した上で、住居費を抑える方法について紹介していきたいと思います。

賃貸物件の関係者

賃貸物件の関係者を列挙すると下記の通りです。なお、「媒介」は法令に用いられている語句であり、「仲介」と同義です。宅地建物取引業者は「宅建業者」と略します。

  • オーナー:賃貸物件の持ち主
  • 賃貸人:賃貸借契約における賃貸物件の貸主
  • 賃借人:賃貸借契約における賃貸物件の借主
  • 元付業者:貸主と媒介契約を締結している宅建業者
  • 客付業者:貸主と媒介契約を締結する宅建業者
  • 管理会社:賃貸物件を管理している会社
  • その他の業者:鍵交換やハウスクリーニングなどを行う会社

オーナーがマンション・アパートを1棟保有していてその管理を管理会社に任せている場合、管理会社(または管理会社のグループ会社)が元付業者となるケースが多いかと思います。なお、ここでオーナーと貸主を分けているのは、サブリース物件(事業者がオーナーから一括借り上げして転貸している物件)があるためです。

賃貸借契約の関係者

貸主から見ると

賃貸借契約においては、貸主という絶対的な存在があります。貸主がいなければ、家を借りることはできません。そこで、まずは貸主が借主を捜す工程を確認しましょう。

  1. 賃貸人↔賃借人
    賃貸人・賃借人ともに業者を関与させずに直接契約します。
  2. 賃貸人↔元付業者(代理契約)
    賃貸人が元付業者に契約に関する代理権限を与え、元付業者が賃貸人名義で賃借人と契約します。
  3. 賃貸人↔元付業者(専任媒介契約)
    賃貸人が元付業者に媒介を依頼します。賃貸人は他の宅建業者に媒介を依頼することができません。
  4. 賃貸人↔元付業者(一般媒介契約)
    賃貸人が元付業者に媒介を依頼します。賃貸人は他の宅建業者に媒介を依頼することができます。

元付業者は、自身で貸主を捜して客付することもできますし、不動産流通機構のシステム(レインズなど)に賃貸物件の情報を登録して、他の宅地建物取引業者に客付を依頼することもできます。

借主から見ると

次に、借主が賃貸物件を探す工程を確認しましょう。借主の場合には、借主と直接、またはひとつあるいは複数の宅建業者とやりとりして、そのうちのひとつの業者に媒介を依頼することとなります。

  1. 賃借人↔賃貸人
    賃借人・賃貸人ともに業者を関与させずに直接契約します。
  2. 賃借人↔元付業者(代理契約)
    賃借人が、代理権を与えられた元付業者を介して、賃貸人と直接契約します。
  3. 賃借人↔客付業者
    賃借人が客付業者に媒介を依頼します。元付業者が客付業者を兼務するケースもあります。

賃貸借契約締結の全体像

ここまで確認した賃貸借契約の関係者の関係を図にまとめたものが下図です。この全体像を把握することで、住居費の抑制につながっていきます。

不動産の賃貸借契約における当事者の関係性
表1

賃貸物件の費用

まずは賃貸物件の主な費用を列挙します。

継続的に発生する費用

  • 家賃
  • 管理費・共益費
  • 火災保険料
  • 家賃保証料

初期費用

  • 日割り家賃
  • 前家賃(翌月分家賃)
  • 敷金
  • 礼金
  • 火災保険料
  • 家賃保証料
  • 鍵交換費用
  • その他のオプション
  • 仲介手数料

いろいろな費用がかかりますが、住居費の抑制で大切なのは、トータルで費用を抑制するという意識を持つことです。そして、どの費用が最終的にどの関係者の利益となっているかを把握しておくことで、トータルでの費用抑制をスムーズに進めることができます。

ここでは、管理会社(またはそのグループ会社。以下同。)が元付業者を兼ねているとして考えてみましょう。

例えば、家賃・礼金は賃貸人の利益になります。管理費・共益費は最終的には管理会社の収入でしょうが、空室時にも賃貸人が負担しているため、実質的には賃貸人の利益になります。

火災保険料や家賃保証料は管理会社へのマージンがあるかもしれません。鍵交換やその他のオプションは、管理会社が施工するものかもしれませんし、外部業者に委託してマージンを受け取っているかもしれません。またこのほかに、管理会社は、家賃等の回収に際して、賃貸人から手数料を受け取ってるかもしれません。成約に際しては、管理会社は元付業者として「業務委託料」「広告宣伝費」などと呼ばれる手数料を受け取っているでしょう。

一方、客付業者の収入は賃借人からの仲介手数料(元付業者と折半する場合などあり)と、あれば元付業者からの「広告宣伝費」です。ここらへんは貸借人からは見えにくい構造となっています。

ここでもう一度、さきほどの表を見てみましょう。

不動産の賃貸借契約における当事者の関係性
表1

ケース②④⑥では、賃貸人と賃借人から得られる収入を元付業者と客付業者で分け合う形となってしまいますので、収益構造が非常に見えにくい状況です。一方、ケース⑤では1業者が両取りしていますので、ある程度の推測が可能です。さらに、ケース①③ではそもそも媒介ではないので仲介手数料が発生しません。したがって、仲介手数料を抑制しようと考えるならば、ケース①③ないしは⑤の物件にあたるのが効率的でしょう。ケース④⑥に比べて関係者が減る分、全体としての費用削減に向けた交渉余地も大きくなります。

なお、「仲介手数料の安い業者を選べ」「その場で申し込まずに相見積もりを取れ」というアドバイスをしている方をよく見かけますが、仲介手数料の減額の可否は収益構造によってしまい、物件ごとに違いますので適切とは言えません。

ケース⑥で仲介手数料が賃料の1か月分、「賃貸人0%・賃借人100%/元付50%・客付50%/広告宣伝費ゼロ」という物件の場合、貸借人から得た仲介手数料1か月分を元付業者と客付業者で0.5か月分ずつに分けるので、客付業者に「原則通りに0.5か月に下げろ」と言うことは「ただ働きしろ」と言っているようなものです。こうしたことを避ける意味でも、ネットなどから最初に問い合わせる時点でケース①③⑤にあたりをつけることをお勧めします。

また、相見積もりなど取ろうものなら、条件にマッチした物件を探す努力をせずに口を開けて待っている怠惰な仲介業者が蔓延ってしまい、賃貸人・賃借人を含めた業界全体の利益を損なう結果に繋がるでしょう。たまたま同じ物件を紹介してきたなら比べてもいいですが、ある業者から紹介された物件を他の業者に持ち込むマネは避けたいものです。

持ち込み物件に特化した賃貸仲介サービス

とはいえ、賃借人が探してきた物件の持ち込みのみを受け付けて、不動産賃貸の仲介の肝である重要事項説明などに徹してコストを削減し、低廉な仲介手数料を実現することは、さきほどは怠惰と言ってしまいましたが、特に小規模な事業者にあっては合理的な事業運営ではあります。

下記の「さがしてモチコム」(「東京なっトク部屋探し」に名称変更しています。)は、そうした持ち込みに特化した賃貸仲介サービスとなっています。私は前述の考え方から利用しませんが、考え方は人それぞれですので、気になる方は問い合わせしてみてください。仲介手数料の削減のみを考えている方に向いているかと思います。なお、営業地域は東京23区とその近郊です。

さがしてモチコムの仲介手数料
・広告宣伝費がある物件→0円
・広告宣伝費がない物件→2万円(税込)

近畿では、下記の「ハウスーモ」が同様に持ち込みに特化した賃貸仲介サービスを行っています。仲介手数料は0円となっています。こちらは他社経由で申込済の物件も受け付けるなどトラブルになりそうな要素がありますので、「手段を問わずやってみてあとは野となれ山となれ」といった方向けです。

あとは交渉次第

こうして、元付・客付間の手数料配分という不確定要素を排したら、あとは、各関係者の利益に目配せし、利益への減額要求が過度にならないように配慮しながら、トータルでの費用抑制を図っていきます。

長期にわたって居住する予定であれば、家賃に重点をあてて交渉することになるでしょうし、そのためにあえて管理会社=元付業者のやる気を促すため、その利益となるオプションはある程度受け入れるのもひとつの方法です。

あるいは、それほど長期の予定ではないのであれば、礼金や前家賃(フリーレント含む)、オプションを中心にバランスを考えながら交渉することになるでしょう。

いずれにしても、相手も人間ですので、過度な要求とならぬよう、全関係者にとって気持ちよい契約となるように心がければ、おのずと結果がついてくるかと思います。

ちなみに、私は転居を15回経験しています。そのうち、ひとり暮らし用賃貸物件の私名義の契約計5回の内訳は、ケース①・1回、ケース⑤・3回、ケース⑥・1回であり、おおむね満足のいく契約ができています。

最後に注意事項をひとつ。住宅の賃貸トラブルは特に退去時に多くなっています。国土交通省HPでは「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表していますので、契約締結時に契約書をチェックする参考にしてみてください。なお、原則として契約書の記載内容が優先されます。

別記事「新電力各社の料金改定・事業撤退~実質100%再エネ『グリーンオクトパス』(オクトパスエナジー)という選択」では、電力料金高騰の背景と電力会社の選び方について取り扱っています。

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