この記事では、アメリカの先物・オプション取引と日本の先物・オプション取引を簡単に比較していきたいと思います。今回取り上げるのは、米主要株価指数(S&P500・NYダウ・Nasdaq-100)と日本の主要株価指数(TOPIX・日経平均株価)の先物・オプションです。
日本の先物・オプション取引
「SQ」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?「SQ」とは、Special Quotationの略で、先物・オプション取引において保有建玉を期日に決済するための最終清算数値を指します。先物取引は四半期毎、オプション取引は毎月、第2金曜日の指数構成銘柄の始値に基づいて最終清算数値が算出されています。
先物取引では、約定価格と最終清算数値との差額を差金決済します。オプション取引では、イン・ザ・マネーにある場合(コールオプションは最終清算数値が権利行使価格を上回る場合、プットオプションは最終清算数値が権利行使価格を下回る場合)、自動的に権利行使されます。
先物取引とオプション取引のSQが重なる3月・6月・9月・12月のSQは「メジャーSQ」と呼ばれ、それに先立つ数日は特に先物・オプションに係る需給動向が注目されています。
日経平均株価・TOPIXを対象とする先物・オプションは、上記の統一されたスケジュールで取引されています。また、このほか、2015年から日経平均株価を対象とするオプションは毎週末に期日を迎えるウイークリーオプションが導入されています。
アメリカの先物・オプション取引
指数先物と指数オプション(四半期オプション)
アメリカの指数先物も日本と同様、四半期毎に期日を迎えます。期日は、3月・6月・9月・12月の第3金曜日に設定されています。この日は、指数オプション(四半期オプション)・個別株オプションも期日を迎え、かつては激しい値動きをしたことから「トリプル・ウィッチング・デー(Tripe Witching Day)」と呼ばれています。また、個別株先物も加えて「クアドラプル・ウィッチング・デー(Quadruple Witching Day)」とも呼ばれています。
指数先物のFinal Settlement Price(最終清算値)は、日本と同様、第3金曜日の指数構成銘柄の始値に基づいて算出されます。また、四半期オプションのFixing Price(値決め価格)は対象とする指数先物のFinall Settlemet Priceを参照します。
なお、日本の指数オプションが指数を対象としているのとは異なり、アメリカの指数オプションは指数先物を対象としています。また、上述した四半期オプションはいつでも権利行使できるアメリカン・オプションとなっています。
四半期オプション以外の指数オプション
アメリカの指数オプションは、上述の四半期オプションのほか、金曜日を期日とするウイークリーオプション、月曜日~木曜日を期日とするウィークリーオプション、月末を期日とする月末オプション、第3金曜日の午後を期日とする四半期午後オプションがあります。
これらのオプションのFixing Price(値決め価格)は、四半期オプションとは異なり、対象とする指数先物の東部時間15:59:30~16:00:00の30秒におけるVWAP(出来高加重平均価格)となっています。また、期日にのみ権利行使できるヨーロピアン・オプションとなっています。
なお、下表のとおり、対象とする指数先物毎に取引できるオプションの種類が異なっています。
オプションの種類 | 期日 | 値決め価格 | S&P500 | NASDAQ-100 | NYダウ |
四半期 | 3月・6月・9月・ 12月の第3金曜日 | 先物の最終清算値 | ○ | ○ | ○ |
ウイークリー | 毎週末 | 15:59:30~16:00:00の 対象とする先物のVWAP (出来高加重平均価格) | ○ | ○ | ○ |
月曜ウイークリー | 毎週月曜 | 同上 | ○ | ○ | |
火曜ウイークリー | 毎週火曜 | 同上 | ○ | ||
水曜ウイークリー | 毎週水曜 | 同上 | ○ | ○ | |
木曜ウイークリー | 毎週木曜 | 同上 | ○ | ||
月末 | 毎月末 | 同上 | ○ | ○ | ○ |
四半期午後 | 3月・6月・9月・ 12月の第3金曜日 | 同上 | ○ |
日本では昔からNYダウが最も有名で注目されてきましたが、上表のような扱いの違いを見ると、どの指数がより重要視されているかは一目瞭然ですね。
多数のオプションが設定されていることによるメリット
S&P 500先物を対象とするオプションは毎営業日、期日を迎えます。多くの期日が設定されていることによって、投機にせよヘッジにせよ、よりコストの安いオプションを取引する機会を得ることができます。
オプション価格は、本源的価値と時間的価値によって成り立っています。本源的価値とは現時点で権利行使した場合の収入、時間的価値とは将来の本源的価値が変動する可能性に対する価値です。
時間的価値は通常、期日までの期間が短いほど小さくなりますので、例えば、FOMCなどの重要な経済イベントに対してヘッジ取引を行う場合、その当日あるいはイベントが影響を与えうる範囲内でより有利な期日のオプションを取引すれば、ヘッジコストを抑制することができます。
リンク
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